被災当日に「人が思うこと(思考・感情)」と「平時の今すべき対応策」
首都直下地震が発生した場合、首都圏(1都3県)で約650万人(うち都内だけでも約390万人)の帰宅困難者が発生すると想定されています。
「首都直下地震の被害想定と 避難者・帰宅困難者対策の概要について 」より引用
発災直後、自分がその一人になったときに頭をよぎる感情や思考パターンと、それに備えて今やっておくべき具体的な対応策を5つ 例として整理しました。
1. 「家族は無事か? 今すぐ帰って確認したい」
当日の心理:
不安が頂点に達し、交通機関が止まっていても「歩いて帰ろう」とパニック状態で飛び出そうとします。
平時の対応策:
家族間で災害用伝言ダイヤル(171)やWeb171などの「安否確認手段」を複数決め、練習しておく。
「自分を襲う次の危険」「家族も自助」「わが子をどうするか」など相互ルールを事前に作っておくことが大切です。
2. 「ここにいて大丈夫か? 早く移動しないと取り残される」
当日の心理:
群集心理から周囲の人が動き出すと焦り、「とにかく外へ行けばなんとかなる」と道路へ飛び出そうとします。
平時の対応策:
「発生後72時間は動かない(一斉帰宅の抑制)」が最大の防災戦略だと理解しておくこと。
「人命救助のタイムリミットとされる発災後72時間は、むやみに移動せず安全な場所に留まること (帰宅困難者対策ハンドブックより)
東日本大震災の教訓から、無闇な移動は余震・火災・建物倒壊などの二次被害を招き、緊急車両による救急・救助活動を妨害することを知っておく
必要があります。自分の命も、他人の命も危険にしてはいけません。
※メッカの巡礼大巡礼(ハッジ):
イスラム暦の12月8日〜12日の「わずか5日間」一生のうち一度は行くことが義務と考えられている。
この群衆が儀式のため移動中に、将棋倒しにより圧死(2015/2,400人(諸説あり)以上)したという悲しい出来事 (2015年メナー群衆事故・ウィキペディアより)
3. 「水や食料、スマホの充電が尽きたらどうしよう」
当日の心理:
空腹や情報遮断(スマホのバッテリー切れ)への恐怖から冷静さを失い、支援物資を求めてパニックを引き起こします。
平時の対応策:
個人ロッカーに自前の「オフィス防災ポーチ/バッグ」を常備する(モバイルバッテリー、持病薬、簡易トイレ、歩きやすい靴、行動食)。
4. 「歩いて帰るしかないなら、今すぐ徒歩で出発しよう」
当日の心理:
距離感を楽観視し、革靴やヒール、軽装のまま何十キロも歩こうとします。夜間の暗闇や瓦礫の危険を軽視しがちです。
平時の対応策:
自宅までの徒歩ルートを「災害時帰宅支援マップ」などで事前確認しておく。
途中の「帰宅支援ステーション(コンビニやガソリンスタンド等)」の場所や、ガラス飛散・火災リスクの高い危険箇所を把握しておく。
5. 「SNSで『〇〇で大火災』『〇〇橋が落ちた』と見た。本当か?」
当日の心理:
流言飛語(デマ)に惑わされ、誤った避難行動をとったり集団パニックに陥ったりします。
平時の対応策:
東京都の防災アプリや自治体の公式アカウントなど、信頼できる「一次情報源」をあらかじめスマホに登録・フォローしておく。
情報が未確認のまま拡散・行動しない姿勢を身につけておく。
ご参考に 東京都が発信している帰宅困難者対策の重要10箇条(要約)
東京都が「東京都帰宅困難者対策条例」などを通じて発信している、都内の企業・従業者向けポイントの簡潔なまとめです。
1.一斉帰宅の抑制(72時間は留まる)救助・救援活動の優先と二次被害防止のため、発災後3日間は施設内等の安全な場所に留まることが基本。 ※首都直下地震等大規模な災害が発生した場合、一般的に発災後72時間(3日間)は、救助・救急活 動、消火活動、緊急輸送活動が優先される。
2.事業者による「3日分の備蓄」企業は全従業員向けに水(1人1日3L)・主食・毛布・簡易トイレ等の3日分備蓄を確保する義務がある。
3.安否確認手段の事前周知家族や職場と複数の連絡ツール(171、Web171、SNS、安否確認システム等)を事前に体験・共有しておく。
4.オフィス内の安全確保と転倒防止什器固定や窓ガラス飛散防止フィルム貼りなど、オフィス自体を「72時間留まれる安全空間」にする。
5.通電火災・二次火災の防止退避・避難時にはブレーカーを落とし、プラグを抜いて復旧時の発火(通電火災)を未然に防ぐ。
6.安全な退避場所・一時滞在施設の活用オフィスが危険な場合のみ屋外へ移動し、自治体が開設する「一時滞在施設」へ避難する。
7.段階的な時差帰宅の実施交通機関の復旧や地域の安全が確認された後、近隣居住者から順次・時間差で安全に帰宅させる。
8.帰宅支援ステーション等の事前確認徒歩帰宅の際は、水道水・トイレ・情報提供をしてくれるロードサイド店舗等の位置を把握しておく。
9.デマ防止と通信混雑緩和公式情報のみを信じて行動し、不要不急の通話は控えて緊急通報(119/110)用回線を確保する。
10.地域・周辺滞留者(来訪者)への配慮自社従業員だけでなく、発災時に自社施設内にいる顧客や近隣の帰宅困難者への支援・配慮を行う。